クルマ好きが集まる隠れ家 ザ・ヴィジット

ポジション調整

ポジション調整(RSS)

MAZDA ロードスターでRECARO RSSを使用されているお客さまのシートポジションを調整させていただきました。

ご夫婦でご来店いただきましたが、ロードスターは奥様が運転されるクルマで、ご相談は「シートの前方スライド量が足りず、クラッチを踏み込むために左足を大きく動かさないとならず、運転していて左のおしりが疲れてしまう」ということでした。また少し着座位置が低いため運転していて身体を起こさないといけないので、背中に大きなクッションを入れていつも運転されているとのことでした。せっかく購入されたRSSのシートも純正に戻さないと運転できないなとお悩みでした。

NDロードスターの場合、高身長の方にとって着座位置をできる限り下げたいというのが最も多い悩みですが、逆に小柄な方にとっては、ペダルをきちんと踏める位置にしようとするとシートが前にいかないという悩みもあります。何とか工夫してお客さまのご要望に応えられないかと考えさせていただきました。

NDロードスターのシート取り付け時、注意していただきたいことが2点あります。1点目は、センターコンソール側前方の干渉です。NDロードスターのセンターコンソールは前側が幅広になっています。そのためシートを前方へスライドすると、シートのサイドサポートとセンターコンソールの側面にある樹脂、あるいはシートやスライドレールの前端とフロアにある大きな土手が干渉します。シートの取り付け高さを上手に調整して、干渉する位置を少しでも前にすると、前方へのスライド量も若干ですが増やすことができます。2点目は、シートのヘッドレストとシートバックバー(ヘッドレスト後方にあるアーチ型の樹脂パーツ)の干渉です。シートを後方にスライドするとヘッドレストがシートバックバーに必ず干渉します。シートの角度を寝かせれば寝かせるほど、後方へスライドした時に早く干渉するようになります。シート後方スライド量が少なくなると「背の高い方」などは乗り降りする際に窮屈となります。この2つの点を念頭におきながら、今回のお客さまのストレスを解消していきます。

今回のお客さまは小柄な方で、後方ではなく前方へのスライド量が少ないというのがもっとも大きな課題です。シートとセンターコンソールの干渉具合を調整します。作業としてまずは、シート取り付け時のオフセット調整を変更しました。現状、ハンドルセンターを意識してコンソール側にオフセットされていたものを、ドア側に5mmオフセットさせました。そうすることでセンターコンソールからシートが離れるため干渉するタイミングを遅らせることができるようになります。次にフロアの土手とセンターコンソール側面との干渉を和らげるために、シートレールとサイドアダプターの間に使用している6mmのスペーサーを10mmに変更して4mm上げることにしました。そうすることでフロア土手への干渉を遅らせます。さらに着座位置が高くなることで前方の視認性も改善されます。この2つの作業によって前方へのスライド量を増やすことができるようになりました。

またシートの背もたれに大きなクッションを入れいていたこともあり、(膝裏のクッションの圧を確認しながら)シートの背もたれの角度を1.5度起こすように変更しました。この際もシートの背もたれを起こすと、シートのクッション前端が下がりますので、フロア土手との干渉が増えてシートの前方スライド量が少なくならないように注意します。着座位置が低いあるいは背もたれが寝過ぎていると、人は自然と身体を起こすようになり、結果としてハンドルを強く握りすぎてしまいます。ハンドルを強く握っていると、丁寧に操作することができなくなってしまう場合があります。

前方へのスライド量が増え、シートをドア側に5mmオフセットしたことで身体の中心がペダルのレイアウトに近づきましたので、左足のクラッチ操作が楽になり、身体が捻れてしまうこともなく、おしりが前方へ前滑りしてしまうこともなく、快適かつ正しい運転姿勢が確保できるようになります。さらに着座位置を高くして背もたれを少し起こすことで、前方への視界が良くなり、運転中の前傾が解消されます。そうすることで正しい運転姿勢を保持することができるようになり、かつ丁寧なハンドル操作もできるようになります。

作業後、お客さまに試座していただきました。着座位置はクラッチがしっかりと踏める位置まで前方にスライドできるようになり、前方の視界も良くなり、ハンドルも握るというよりも押すという感覚がすごく良くわかるようになったし、少しシートの角度を起こしたことで、膝裏とクッションが触れる感じも前より圧を感じなくなってラクになったと、大変満足いただきました。これならこのRECAROシートでこれからもロードスターに乗り続けられるとのことでした。

奥様のために旦那様がご予約いただき、おふたりでご来店いただきました。とても素敵なご夫婦でした。
ご来店・ご相談いただきありがとうございました。





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